白幡幼稚園について

ごあいさつ

 白幡幼稚園は、昭和26(1951)年に初代園長田尻トシ子が二十歳の頃に家族の助けを得ながら、小さな幼児保育施設として開設しました。来年で75周年となります。
 その後、神奈川県に正式に認可され幼稚園としてスタートしました。現在でも親子孫3代にわたって通っているというおじいちゃんのお話しもお聞きします。園児がたくさんいた時代には、前の晩から徹夜して入園申し込みをしたというお話しや、秋の運動会ではグランドの場所取りのために、小学校の正門前でほぼ徹夜で並び、お子さんと、保護者の皆さん1000人以上の方が運動会に集まった時期もありました。
その後、時代も移り以前のような混雑はありませんが、白幡幼稚園の近隣は社宅も多く、大勢の皆さんに通っていただきました。現在社宅は減少しましたが、マンションも多くお陰様で多くの園児の方に通っていただいています。

 振り返ると、1960年代、70年代は、小学校的な教育内容でしたので、「健康」「社会」「自然」「言語」「音楽リズム」「絵画製作」の6つの領域に分けて指導していました。鼓笛隊の演奏、組体操、絵画指導などを行っていました。1990年代2000年代に新たな幼児教育のあり方が見直されても、園の保育内容にはあまり大きな変化はなかったと思います。
 しかし、2010年代以降の幼児教育の変化で「思考力・表現力の芽生え」を養うことが盛り込まれ、2017年の幼稚園教育要領の改訂で、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿(※1)」をはじめとした、「アクティブラーニング」を意識した主体的・対話的で深い学びの考え、小学校教育への円滑な接続、幼稚園での経験が中学校・高等学校のSTEAM教育(※2)へとつながる新たな方向性が打ち出されたことと、教員が定期的に研修・研究会に参加し、新しい保育理論や先進的な保育の姿を学び、小学校での学習の進化に気づかされるなど、保育内容のスタンダードが変わってきたことを実感してきました。

 少子化による人口減少の時代に入り、より少ない人口で社会を維持しながら、諸外国と競争・共存・繁栄するためには、多様な考え方に接し、自分の頭で考え行動する、

「ゼロからイチを生み出す力」
「一つのことを掘り下げていく姿勢」
「グローバルな社会課題を解決する意欲」
「多様性を受容し他者と協働する能力」

 
が今後の若者に求められる能力と言えるでしょう。

 では、そのような能力を培う幼稚園での教育・保育はどうあるべきかを考えると、「一律の目標」のもと「一律の内容」を「一律のペース」で、「一斉に」「受動的に」学ぶような保育をするのではなく、園の生活や遊びの中で好きなものを見つけてのめり込む経験を重視し、他者と協働する経験や、時間・空間・教材・教員の多様な組み合わせの自由度を高める方向に転換し、子どもたちが好きなことに繰り返し挑戦したくなる機会を増やすことが必要ということを職員間で話し合いました。
 そのためには、子どもたちが夢中になるきっかけの活動を作ろうということで、「部活動」という概念を保育に取り入れることにしました。

「しぜんぶ」  
 園庭や自然の中での虫探し、草花との触れ合いを楽しむ。畑で育てている野菜を収穫し調理して食べるなど食育にもつながります。
「どれみぶ」  
 歌や楽器、ダンスなどを通して音に親しみ、表現する楽しさを感じる。遊戯や音楽劇などを子ども主体で取り組む
「ものづくりぶ」
 身近な素材を使って自由に作ったり、想像力を膨らませながら、ごっこ遊びへと発展し、みんなで話し合う活動も行う。
「のりものぶ」 
 トミカ、プラレールなどの遊びや、乗り物に関係する工作、標識、交通ルールなども学び、電車や船などを観察する園外活動にもつなげる。


 「部活」を通して興味を持ったものを学年縦断・クラス横断の活動につなげて仲間を増やしながら、自分のクラスでも遊びや活動を発展させる姿を見せてくれています。

 結びになりますが、幼児期は生まれ月(月齢)の違いもありますし、集中できる時間や深さもお子さんによって全く異なります。
 さらに子どもたちの特性や関心意欲は様々です。
「話すこと・聞くこと・書くこと・読むことが得意な子ども」
「文字情報・音・映像などの情報の扱いが得意な子ども」
「音やダンスで表現することが得意な子ども」
「特定の分野に極めて高い集中力を示す子ども」
「特定の分野などに関心・意欲や知的好奇心が旺盛な子ども」
「興味が拡散しやすい子ども」

 個々のお子さんの日々の様子を見ながら保育を進める体制を構築するように心掛けています。ぜひ一度ご来園ください。お待ちしています。


※1「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」の10項目
①健康な心と体 ②自立心 ③協同性  ④道徳性・規範意識の芽生え ⑤社会生活との関わり ⑥ 思考力の芽生え ⑦自然との関わり・生命尊重 
⑧数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚 ⑨言葉による伝え合い ⑩豊かな感性と表現

※2「STEAM教育」は「スティーム」と読み、重視すべき主な学問領域5つを英語で表した語の頭文字をとったものです。
・科学(Science)
・科学技術(Technology)
・工学(Engineering)
・芸術(Art)
・数学(Mathematics)

白幡幼稚園 園長木元茂